一人の試作から、会社の事業へ。フジ・ネクステラ・ラボが実践する、現場発の新規事業開発

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第6章 | 小さな実績を重ね、一人の試作から会社の事業へ

──個人で始めたプロトタイプを、どのように社内の協力を得て、会社の事業へ育てていったのでしょうか。

玉岩:最初は、自分で最低限動くプロトタイプを作り、身近な人に見せるところから始めました。そこで反応が得られたら、営業担当者や、実際に利用する可能性のある企業にも見ていただく。少しずつ、使ってもらう相手を広げていきました。

そのなかで、お客様から価格を聞かれたり、見積もりが欲しいという依頼をいただいたりすると、社内でも、このサービスにはニーズがありそうだという認識が生まれます。そうした具体的な反応が、次の段階へ進むための材料になります。

そこで、法務や契約、運用など、その段階で必要になる担当者に協力してもらいます。構想や初期のプロトタイプは個人から始まっていますが、正式なサービスとして提供する段階では、多くの人の力を借りています。

何もない段階で大勢に説明すると、議論ばかりが増えて、なかなか進まないこともあります。まず小さくても具体的な事実をつくり、それをもとに次の人へ声をかける。実際に使ってもらった結果や、お客様から寄せられた要望があると、協力する側も取り組む内容を考えやすくなると思います。

もう一つ意識しているのは、後から参加する人が力を発揮できる余地を残しておくことです。営業、法務、セキュリティなど、それぞれに専門性があります。「今の段階ではこの部分に力を貸してほしい」と、その人の専門性を必要としていることが伝われば、参加しやすくなります。

そうやって一つずつ実績を積み重ね、周囲の賛同と協力を得ていくうちに、個人のアイデアが会社の事業になっていく。今回の2つのサービスも、そうした進め方で形にしてきました。

──今後、AIソリューション事業をどのように広げていきたいと考えていますか。

玉岩:特定の仕事や現場、用途に深く入ったAIサービスを増やしていきたいと考えています。

「もじセレブ」は音声や映像の内容を業務で使える情報に変え、「Live-QA」は重要なコミュニケーションの最中に人の判断を支援しています。共通しているのは、人がより良い仕事をするために、準備や整理、確認を支えるという点です。

今も、現場で多くの時間を使っている作業や、判断の前に大量の情報整理が必要な業務などに目を向けています。当社が持つ放送・メディアの業務知識や運用経験、セキュリティの技術とAIを組み合わせ、実際に使いながら磨き、グループ内外の企業へ展開していきたいですね。

小さな実績をもとに協力者を増やし、個人のプロトタイプから会社の事業へ育ててきた玉岩氏
小さな実績をもとに協力者を増やし、個人のプロトタイプから会社の事業へ育ててきた玉岩氏

──最後に、新規事業に取り組む方へメッセージをお願いします。

玉岩:まず、困っている人を一人見つけ、その人の課題を少しでも軽くできるものを、小さく作って見せてみてください。専任の組織や大きな予算が整う前にも、できることはあると思います。

そのとき、使ってみたいという好意的な返答だけでは、本当に必要とされているかを判断しきれません。来週の仕事でも使うのか、自分のデータで試してみるのか、有料でも利用するのか。そこまで具体的に聞いていくことで、本当の反応が見えてきます。

そして、最初の仮説にこだわりすぎないことも大切です。私自身、文字起こしで重視していた価値と、利用者が求めていた価値には違いがありました。相手の課題を解決することを軸に、反応に応じて機能や対象を柔軟に変えていく必要があります。

小さくても具体的な結果が得られたら、それをもとに次の協力者へ声をかけていく。その繰り返しが、会社の事業へとつながっていきます。まずは自分が動かせる範囲から、一歩を踏み出していただきたいと思います。

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フジ・ネクステラ・ラボのインタビュー記事のアイキャッチ画像

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