一人の試作から、会社の事業へ。フジ・ネクステラ・ラボが実践する、現場発の新規事業開発

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第2章 | 利用者が求めていたのは、文字起こしのその先だった

──「もじセレブ」は、どのような課題をきっかけに開発が始まったのでしょうか。

玉岩:「もじセレブ」は、音声や動画のファイルをアップロードすると、AIが文字起こしを行い、さらに要約や議事録まで作成できる法人向けのサービスです。会議のほか、番組やニュースの取材素材、インタビュー、講演会などでもご利用いただいています。

開発のきっかけは、当社が手掛けている字幕制作の業務にありました。字幕を作るには、まず音声をテキストにする必要があります。その作業を何とかできないかと、以前から音声認識の技術を調べていました。

ただ、従来の技術では、マイクで収録した明瞭な音声は認識できても、番組素材やアニメ、複数の人が話す音声、雑音の入った屋外の取材音声などでは、十分な精度が出ない状態が続いていました。

転機になったのは、2022年秋に発表された音声認識モデルでした。実際に試してみると、それまで難しかった音声でも、かなり高い精度で文字起こしができました。これは文字起こしという仕事のやり方そのものが変わるかもしれないと感じ、同年冬ごろからプロトタイプの作成を始めました。

──試作を使ってもらうなかで、当初の想定はどのように変わりましたか。

玉岩:最初に作ったのは、ファイルをアップロードするとテキストが出てくる、非常にシンプルなものでした。それを社内や一部の企業に使っていただいたのですが、特に社内から、議事録まで一気通貫で作れないか、要約の仕方を利用者側で自由に変えられないか、といった声が上がってきました。

私は字幕制作に関する技術調査をしてきた経験から、音声を正確に文字にする部分に大きな価値があると考えていました。でも、利用者が必要としていたのは、会議の決定事項や取材での重要な発言など、仕事に使えるように整理された情報だったと気づきました。また、文字起こしの全文を読む時間がないという声も、たくさんいただきました。

そこで生成AIを組み合わせ、文字起こしの結果から議事録や要約を作成し、その生成条件を利用者が自由に指示できる機能を追加しました。この部分は数日でプロトタイプを作り、まず社内で使ってもらいました。

実際に反応が大きかったのも、その先の議事録や要約でした。自分が重要だと思っていた部分と、利用者が価値を感じる部分には違いがありました。

開発の早い段階で使ってもらったことで、そのずれに気づき、サービスの方向性を修正できたことは大きかったと思います。文字起こしの精度を高めることに加えて、文字になった後の仕事まで一気通貫で支援する。それが、「もじセレブ」の価値を考えるうえで重要な視点になりました。

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フジ・ネクステラ・ラボのインタビュー記事のアイキャッチ画像

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