一人の試作から、会社の事業へ。フジ・ネクステラ・ラボが実践する、現場発の新規事業開発

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専任の新規事業組織を持たない会社で、通常業務と並行しながら、新しいサービスをどう生み出すのか。フジ・メディア・ホールディングスグループでIT・デジタル領域を担うフジ・ネクステラ・ラボでは、玉岩氏の試作を起点に、AI文字起こしサービス「もじセレブ」とリアルタイム質疑応答支援システム「Live-QA」が生まれました。

その過程には、開発者が重視していた価値と利用者が求める価値のずれや、法人が導入するために解消すべき運用上の課題がありました。小さな試作を通じて何を確かめ、誰を巻き込み、会社の事業へと育ててきたのでしょうか。

本記事では、日本新規事業大賞のメディアスポンサーとして、「新規事業Talks」が玉岩氏に、2つのAIサービスの開発・事業化における判断と、その背景にある考え方を伺いました。


【プロフィール】

株式会社フジ・ネクステラ・ラボ
ビジネスアクセラレーションセンター アカウントコンサル部
エグゼクティブITコンサルタント チーフテクニカルフェロー
玉岩 秀一 氏

フジミックの社長室企画部部長などを経て現職。約30年にわたり、新しい技術を取り入れたサービスの企画・開発・事業化に携わる。技術職と営業部での経験を生かし、AI文字起こしサービス「もじセレブ」や、リアルタイム質疑応答支援システム「Live-QA」の開発を推進。顧客の課題を起点に、小さな試作と利用者の反応を通じて事業を育てる。法人の導入・運用を見据えたサービス設計を重視。2026年、「Live-QA」が第三回日本新規事業大賞の審査員特別賞を受賞。


第1章 | 新規事業の種は、いつもの仕事のなかにある

──まず、フジ・ネクステラ・ラボの事業内容について教えてください。

玉岩:当社は、フジ・メディア・ホールディングスグループのIT・デジタル領域を担う会社です。2025年10月に、放送システムやインフラを支えてきたフジミックと、ゲームや動画配信、マーケティングなどを手掛けてきたFuji Culture Xが経営統合して発足しました。そこで培った技術やサービスを、グループ内外の企業に提供しています。

──御社では、どのように新しい事業やサービスが生まれているのでしょうか。

玉岩:社内には、新しい取り組みを費用面などで支援する仕組みがあります。ただ、初期のアイデアや事業企画を専任組織が一括してつくる形ではありません。社員が通常業務やお客様との会話から課題を見つけ、自ら動き始めるケースが多いですね。

私も、「もじセレブ」と「Live-QA」では、まず自分で小さなプロトタイプを作り、社内やお客様に見てもらうところから始めました。その反応から可能性が見えてきた段階で、必要な人に協力してもらい、事業へと広げています。

──日々の業務のなかで、どのように事業につながる課題を見つけているのでしょうか。

玉岩:お客様との会話で、本筋の議題とは別に、「こんなものがあるといいのに」とこぼされることがあります。そうした言葉のなかに、アイデアの種があると思っています。

その言葉を拾い、小さなプロトタイプを作って見せてみる。動くものを見て初めて、お客様自身も必要としていたものに気づくことがあります。そこから具体的な使い方や、いくらなら利用したいかといった話につながっていきます。

私は入社してから、新しい技術を業務に取り入れ、小さく作って確かめることを繰り返してきました。営業部に在籍した経験も大きかったですね。お客様の課題や導入判断に直接触れたことで、技術的に何を作れるかに加え、どのようなものであれば実際の仕事で使われ、対価を払っていただけるかを考えるようになりました。

フジ・ネクステラ・ラボの玉岩氏。現場の課題を起点に、AIサービスの開発・事業化に取り組む
フジ・ネクステラ・ラボの玉岩氏。現場の課題を起点に、AIサービスの開発・事業化に取り組む
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