全国約5,400施設で培った安心とおいしさを、家庭の夕食へ。日清医療食品「おむかえデリ」が保育園に見つけた事業機会
第4章|決まったステージゲートはない。一回やってみるから始まった事業化
──おむかえデリの着想から、正式な事業化に至るまでのプロセスを教えてください。
髙木:当社には、新規事業のアイデアを評価するためのステージゲートや、あらかじめ定められたマイルストーンがありません。アイデアを上申し、実証実験の許可を得たうえで、必要な費用を稟議で申請して進める形です。
新規事業の担当部署ができたのは2024年でした。当時、社内には新規事業を経験した人がおらず、上司と私の2人で、新規事業とは何をするのかを考えるところから始まりました。最初の1年間は、具体的な進め方を模索していた時期です。
配属時には、既存のルールや考え方にとらわれず、自分が良いと思ったものは進めてほしいと伝えられていました。その言葉もあり、制度や計画を固めてから動くのではなく、行動を通じて学ぶことを意識していました。
その後、上司が別のアイデアで実証実験に取り組む姿を見て、最初から完成度の高い事業計画を作るのではなく、まず形にして試してみることが大切だと学びました。そこで、2025年9月ごろに考えたおむかえデリの構想を上司に伝え、自分も実証実験をやってみたいと申し出ました。
許可を得てからは、グループ会社と保育園に自ら連絡し、冷凍庫の手配も進めました。2026年1月に仙台で最初の実証実験を行い、その後、東京や大阪へと検証の場を広げています。

──これまでの給食事業とは顧客も販売方法も異なります。BtoC事業に対して、社内から懸念はありませんでしたか。
髙木:社内からは、さまざまな懸念がありました。給食事業は施設との契約を通じて、決められた数の食事を継続的に提供する事業です。一方、おむかえデリは、一人ひとりの保護者に商品を知ってもらい、購入してもらわなければなりません。
ただ、おむかえデリには、保育園を通じて対象家庭へ直接案内できるという強みもあります。保護者と接点を持てる場が最初から用意されているため、仕組み次第では十分に可能性があるという意見も社内にはありました。
