保険会社が、なぜクルマの試乗サービスに挑むのか。東京海上日動発Carjanyに学ぶ、経営課題からの新規事業づくり

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第2章 | 信用と意思決定の速さを両立する、出向起業という選択

──事業を進める形として、なぜ出向起業を選んだのでしょうか。

渡邊:保険会社の中で本業以外の事業を進めるには、さまざまな承認や確認が必要になります。また、既存事業で重視される判断基準が、新規事業にそのまま当てはまるとも限りません。事業に合わせて素早く意思決定するには、外に会社をつくった方がよいと考えました。

一方で、この事業には東京海上日動が築いてきた信用が欠かせません。私たちは、複数のブランドのディーラーから新車を預かります。長年の取引関係があり、事故などが起きたときにも対応できるという安心感があるからこそ、クルマを預けていただけるのです。

独立した会社として意思決定しながら、東京海上日動の信用やネットワークを生かす。その両方を成立させる形が、出向起業でした。

長年の取引で培った信用とリスクマネジメント能力が、ディーラーからの試乗車調達を支える。
長年の取引で培った信用とリスクマネジメント能力が、ディーラーからの試乗車調達を支える。

──会社の設立に先立ち、約1年半の実証実験を行ったと伺いました。どのように進めたのでしょうか。

渡邊:まずは外部企業と連携し、その環境で事業が成り立つかを確かめました。会社を設立して本格的に事業を始める前に、お客様が使ってくれるのか、実際にお金をいただけるのかを確認したかったのです。

最初から今のような店舗を構えたわけではありません。ショッピングモールの一角に簡易的なブースをつくり、少数の試乗車で始めました。館内でビラを配り、関心を持ってくださった方にサービスを使っていただく。本当に小さく始めた実証実験でした。

──実証実験では、何を確認できれば事業化できると考えていたのでしょうか。

渡邊:大きく三つです。一つ目は、お客様が試乗サービスに料金を払ってくださるか。その利用理由が、私たちの仮説と合っているかです。

二つ目は、ディーラーがクルマを貸してくださるか、そして想定していた水準の業務委託料をいただけるか。お客様が使ってくれるだけでは、事業は成立しません。

三つ目が収支です。埼玉の2拠点で実証し、そのエリアで生まれる売上と、運営にかかる費用を見ていました。一つのエリアで一定の利益を出し、展開地域を増やすことで、本社の管理部門などの費用も賄えるのか。そうした収支の構造を確かめていきました。

ただ、ディーラーに協力をお願いしても、まず問われるのは、本当にお客様が使うのかということです。そのため、実証実験の初期は特に、お客様がなぜ使うのか、いくらなら使っていただけるのかを確かめることに力を注ぎました。

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carjanyのインタビュー記事のアイキャッチ画像

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