大企業の新規事業担当者は、どう立ち上がるべきか。大東建託・遠藤氏が語る「180案・1300枚・300社」が生んだ事業開発論

「新たな収益の柱をつくってほしい。」
そんなミッションを受けて新規事業担当になったものの、何から始めればいいのか分からない。そんな悩みを抱える担当者は少なくありません。
市場調査をするべきなのか。事業アイデアを考えるべきなのか。社内を回るべきなのか。それともスタートアップとの接点を増やすべきなのか。立ち上がり方に正解がないからこそ、多くの担当者が手探りで進めています。
そんな中、大東建託株式会社へ中途入社した遠藤氏は、入社前に180案の事業アイデアを考え、CVC立ち上げから約1年で1,300枚の名刺交換と300社以上との面談を重ねるという、徹底した行動量で新規事業開発に取り組みました。その積み重ねは、スタートアップ・Unitoとの協業という大きな成果にもつながっています。
では、大企業の新規事業担当者は、着任後に何から始めるべきなのでしょうか。
今回は、これまで大東建託にてCVCやオープンイノベーション、新規事業プログラムの運営を担ってきた遠藤氏に、事業開発人材としての立ち上がり方から、オープンイノベーションを成功に導く考え方、そして新規事業担当者に求められる能力について伺いました。
【プロフィール】

大東建託株式会社
事業戦略部 イノベーションリーダー
遠藤勇紀 氏
学生時代の事業立ち上げ経験を経て、新卒でプライム上場企業の新規事業部門へ入社。
中途入社の現職では社内ベンチャー制度や自社アセットを活用しオープンイノベーションによる新規事業に取り組む。サードプレイスは自身のルーツでもある「鹿児島」。
第一章 | 入社前から180案。まず量から始まった新規事業担当者の立ち上がり
──大東建託へ入社される前から、180案もの事業アイデアを考えられていたそうですね。なぜそこまで準備されたのでしょうか。
遠藤氏:入社するタイミングでは、180案くらい新規事業のアイデアを考えて、初日を迎えました。
IRを読み込んだり、内定承諾後も会社とコミュニケーションを取りながら、この会社にはどんなアセットがあるのか、何をやりたい会社なのかを理解した上で、この会社ならどんな事業ができるのかを考え続けていました。
もちろん、180案すべてを事業化したかったわけではありません。
僕が知りたかったのは、会社の判断軸です。
会社がどんな新規事業を評価するのかは、入社前には分かりません。だからこそ、まずは大量にアイデアを考え、社内へ提案してみる。そうすると、この方向性はいい、この視点が足りないといったフィードバックが返ってきます。
180案を星付けや時間軸まで整理して提案したのも、その判断軸を見極めるためでした。会社のものさしを理解してから事業を考えた方が、結果として成果につながると思っていたんです。
──実際に180案を提案してみて、どのような気付きがありましたか。
遠藤氏:前職での経験とも比較して、やっぱり会社ごとに新規事業で求めているものは違うんだなと感じました。
最初は自分なりに良いと思ったアイデアでも、会社として見ると優先順位が違うこともありますし、逆に自分では気付かなかった視点を評価してもらえることもあります。
だからこそ、最初から正解を当てにいくというよりも、まずは数多く提案して、会社が何を重視しているのかを理解することが大事だと思っています。
その判断軸が見えてくることで、その後の事業の考え方も変わってきました。
