新規事業プログラムの「3年目の壁」をどう越えたか。リコーTRIBUSに学ぶ、進化し続ける運営のつくり方
第6章|関係人口を増やす。サポーターズとコミュニティの効き方
応募は募集期間ではなく、日常で作られる
堀井:
第5章では募集期間中の施策について伺いましたが、そもそも応募者の母集団をどう作っているのかも気になりました。
募集期間以外の取り組みもあるのでしょうか。
森久:
そうですね。第5章でお話ししたような募集期間中の施策も重要ですが、そもそも応募につながるかどうかは、TRIBUSに関わる人、いわゆる関係人口がどれだけ増えるかに大きく依存します。
募集期間だけ施策を打っても、そもそもTRIBUSのことを知らない、あるいは関わったことがない社員には届きません。
そのため、日常のなかでTRIBUSと接点を持つ人を増やしていくことが重要だと考えています。
TRIBUSでは、関わり方の濃さに応じて複数の入り口を用意しています。
一つがサポーターズです。
社員が自分のスキルをハッシュタグで登録し、事業チームや採択されたスタートアップの活動を手伝う仕組みで、現在300人ほどが参加しています。
例えば、特定の技術分野に詳しい人が技術相談に乗ったり、マーケティングの知見を持つ社員が市場調査を手伝ったりと、それぞれのスキルを生かしてプロジェクトに関わることができます。
必ずしも自分が事業を立ち上げるわけではなくても、こうした形で新規事業の現場に関わる経験ができることが、社内での関心の広がりにつながっています。
もう一つがTRIBUSコミュニティです。
こちらは1600〜1700人ほどの規模で、PoCへの参加やヒアリングへの協力など、比較的ライトな形でも関われる場になっています。
例えば、新しいサービスのテストユーザーとして参加したり、アイデア検証のインタビューに協力したりと、短時間でも関われる機会を用意しています。
堀井:
濃淡のある関わり方が、応募の土壌になるわけですね。
森久:
はい。社員もワークライフの状況によって、濃く関われない時期があります。
ただ、その期間に完全にTRIBUSのことを忘れてしまうと、募集が始まっても思い出せないんです。
だからこそ、薄くても関わり続けられる状態を作ることが大事だと考えています。
日常のなかでTRIBUSと接点を持つ人が増えていく。
その積み重ねが、結果として応募につながっていくと思っています。
全国の新規事業プログラム運営者へのメッセージ
プログラム自体を新規事業として運営せよ

堀井:
最後に、他社の新規事業プログラムやアクセラレーターの担当者へメッセージをお願いします。
森久:
新規事業プログラムや、社外アクセラレータープログラムの運営は、ルーティンワークにしようと思えばいくらでもできます。
世の中にあるプロセスやフレームワークを持ってきて、それを毎年同じように回す。
それでも一定の形にはなります。
ただ、それを続けていると、運営する側も次第に面白くなくなってしまいますし、プログラム自体も自社にフィットした形に進化していきません。
だからこそ、プログラムそのものを新規事業だと思って取り組むことが大事だと思っています。
新規事業と同じように、仮説を立てて試し、結果を見ながら改善していく。
毎年少しずつでもアップデートしていく。
そうやって運営を続けていくことで、プログラム自体も会社に合った形に進化していきます。
そしてもう一つ思うのは、
プログラムの運営者自身も、ある意味では新規事業の当事者だということです。
自分たちのプログラムをどう育てていくのか。
どんな仕組みにしていくのか。
その試行錯誤自体が、新しい挑戦なのだと思います。
もし、連携やお困りごとがあれば是非ご連絡をください。
