新規事業プログラムの「3年目の壁」をどう越えたか。リコーTRIBUSに学ぶ、進化し続ける運営のつくり方
第5章|応募数が落ちる「3年目の壁」をどう越えたか
行動分析/セミナー設計/個別接触/丁寧なフィードバック

堀井:
多くの企業が悩むのが、2〜3年目で応募がガクンと落ちる問題です。TRIBUSでもありましたか?
森久:
ありました。社内公募は特に、初年度が一番多い傾向があります。
1年目は、これまで出す場がなかったアイデアが一気に出てきます。
2年目は、1期目を見て「採択されると実際に事業化に進むんだ」と理解した様子見層が応募してきます。
ただ3年目以降になると、社内にストックされていたアイデアが一度出尽くしてしまう。
その結果、応募数が落ちやすくなります。これはある程度構造的なものだと思っています。
堀井:
そこから2024年に盛り返したんですね。
森久:
はい。やったことは大きく四つあります。
一つ目は、行動分析です。
過去に応募した人が、募集期間中にどのイベントに参加していたのかを洗い出しました。
どのタイミングで、どんな行動をしている人が応募に至っているのかを見ていくと、応募につながる行動パターンが見えてきます。
それをもとに、応募前の導線を設計し直しました。
二つ目は、セミナー設計です。
応募しない理由を分解すると、実はパターンがあります。
例えば、
・応募する勇気が出ない人
・アイデアがまだ固まっていない人
・アイデアはあるが磨ききれていない人
それぞれで必要な支援が違うので、セミナーの内容も分けて設計しました。
アイデア創出のワークショップ、仮説の磨き方の講座、応募前相談の場など、足踏みしている理由に合わせて打ち手を用意しています。
三つ目は、個別接触です。
イベントに参加してくれた人に対して、こちらから個別に声をかけるようにしました。
「応募を迷っている理由は何ですか?」
「どこで詰まっていますか?」
こうした相談ができる導線を作ることで、応募まで進む人が増えました。
そして四つ目が、丁寧なフィードバックです。
堀井:
一次選考で落ちた方にもフィードバックするのは、相当工数がかかりそうです。
森久:
かかります。
ただ、ここは意識して丁寧にやっています。
もしフィードバックがないと、応募した側からすると
「なぜ落ちたのか分からない」「もういいや」
となってしまい、そこで関係が切れてしまう可能性があります。
TRIBUSでは、非採択だった方にもできるだけ具体的なフィードバックを返しています。
ポジティブな気持ちで力を蓄えて、また次回応募してくれる人が一人でも増えれば、長期的にはプログラムの資産になると考えています。
