勘と経験の陸上養殖を、再現可能な産業へ。収益モデルの完成前に走り出した株式会社Niterra AQUAの挑戦
第6章|Niterra AQUAの挑戦が、社会と日本特殊陶業にもたらすもの
──株式会社Niterra AQUAは、今後どのような価値を社会に提供していきたいと考えていますか。
長原氏:まずは、陸上養殖に取り組む事業者を増やし、海産物を安定して生産できる仕組みを広げたいと考えています。
陸上養殖は、現時点では誰もが安定して収益を上げられる事業にはなっていません。現在の活動を通して、技術や他社との連携、ブランディングなどを組み合わせ、事業として継続的に成立するモデルを確立したいと考えています。将来的には、陸上養殖が日本の食料生産における当たり前の選択肢の一つになっている状態を目指しています。
──Niterra AQUAの挑戦は、親会社である日本特殊陶業にもどのような影響を与えていますか。
長原氏:株式会社Niterra AQUAが社外の企業とつながることで、日本特殊陶業にも新しい技術や事業領域との接点が生まれています。水やエネルギーに関する技術を持つ企業と出会った際に、陸上養殖で活用できないかと相談を受けることもあります。
私たちは、日本特殊陶業にとって新しい領域とつながる出島のような存在になりたいと考えています。社外からも、自動車部品やセラミックスを手がけてきた会社から陸上養殖事業が生まれたことに、関心を持っていただいています。
社内でも、私たちを含む新規事業人材の活動を背景に、挑戦的な仕事に取り組む人材をどのように評価するかという議論が進み、企業文化にも変化が表れています。
株式会社Niterra AQUAの挑戦自体は、陸上養殖を事業として成立させ、社会に広げるためのものです。その挑戦を続けることが、結果として日本特殊陶業の新しい接点や企業価値にもつながっていると考えています。
──最後に、新規事業に取り組む方へメッセージをお願いします。
長原氏:私自身、新規事業に関わり始めてからの期間はまだ長くありません。ただ、エンジニアとして働いていた頃から、答えは現場にあると考えてきました。
実際に現場へ行き、自分の目で見て、話を聞き、感じたことを持ち帰る。そのうえで、自分たちの技術だけにこだわらず、さまざまな知見や技術を組み合わせて形にすることが大切です。
新規事業では、当初の想定どおりに進まないことや、心が折れそうになることもあります。それでも、現場に向き合いながら試行錯誤を続けることで、自分たちが目指すものと、顧客が求めるものが重なる場所を見つけられると思います。
私たちもまだ挑戦の途中です。新規事業に取り組む皆さんと一緒に、諦めずに続けていきたいです。
