勘と経験の陸上養殖を、再現可能な産業へ。収益モデルの完成前に走り出した株式会社Niterra AQUAの挑戦

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第3章|測るだけから、安定生産と販売までを支える事業へ

──センサーだけを提供する事業から、サービスをどのように広げていったのでしょうか。

長原氏:自社製アンモニアセンサーを使うことには固執しませんでしたが、水質をデータで把握する考え方は、現在のシステムにも生かされています。

自分たちで養殖に取り組むなかで、水質を測るだけではなく、水質を適切な状態に保つ設備まで必要だと分かりました。そこで、水温や酸素濃度などを測る水質センサーと、養殖設備を組み合わせた陸上養殖システムの開発に進みました。

現在のシステムは、ハード、ソフト、養殖ノウハウの3つで構成されています。ハードは、水槽やろ過槽、温度管理設備など、エビを育てる環境をつくる部分です。ソフトでは、水質データを収集し、異常があった場合に通知したり、必要な作業を示したりします。

水質を測定して終わるのではなく、データをもとに現場で何をすべきかまで分かる仕組みにしたことが、大きな変化です。

Niterra AQUAの安定生産を支える、ハード・ソフト・養殖ノウハウの三位一体システム
安定生産を支える、ハード・ソフト・養殖ノウハウの三位一体

──養殖ノウハウも提供されているのですね。

長原氏:養殖の現場では、経験や勘に頼って作業していることが少なくありません。同じエビを育てていても、人によって餌の量や水質への対応が異なります。これでは、新しく陸上養殖を始める人が安定した生産を再現することは難しいと感じました。

私たちは製造業で、誰が作業しても同じ品質を再現できるように、工程や作業方法を標準化してきました。その考え方を養殖にも持ち込み、稚エビの受け入れから給餌、水質管理、出荷までの工程を整理し、作業指示書に落とし込んでいます。

蓄積したデータから適切な給餌量や水質の基準を導き出し、個人の経験への依存を減らしています。マニュアルだけで解決できない問題が起きた場合は、私たちのエンジニアが現地や遠隔でサポートします。

──現在は、養殖設備以外にも幅広い支援を提供されています。

長原氏:陸上養殖を始めるには、設備だけでなく、稚エビや餌、塩といった資材も必要です。また、設置する建物や利用できるエネルギーなど、事業者ごとに条件が異なります。

そこで現在は、設備、センシング、作業方法、資材という4Mを一体で提供しています。養殖設備の設計から資材調達、立ち上げ後の運営まで支援し、事業者が継続して養殖できる状態を目指しています。

──エビの販売まで支援するのは、なぜでしょうか。

長原氏:陸上養殖は、海で獲る場合と比べて生産コストが高くなります。そのため、安定して育てられるだけでなく、できた海産物の価値を伝え、適正な価格で販売できなければ、事業として成立しません。

私たちは倉敷養殖ラボをテストケースとして、そこで育てたエビをうるみえびとしてブランド化しました。ECサイトでの販売に加え、飲食店や卸売事業者への活魚販売などを通じて、販路開拓にも取り組んでいます。

自分たちがエビを販売することだけが目的ではありません。どのような価値であれば市場に受け入れられるのかを検証し、その知見を養殖事業者への販売支援に生かすことが狙いです。設備を提供して終わるのではなく、安定生産から販売まで支えることが、現在の株式会社Niterra AQUAの事業になっています。

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Niterra AQUAのインタビュー記事のeyecatch画像

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