勘と経験の陸上養殖を、再現可能な産業へ。収益モデルの完成前に走り出した株式会社Niterra AQUAの挑戦

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第4章|大きく広げるために、あえて小さくする。技術開発と共創へのシフト

──現在は、商業生産向けのシステムに加えて、小型養殖システムも展開されています。なぜ小型化したのでしょうか。

長原氏:商業生産向けのシステムは、一度に多くのエビを育てられる一方で、導入には広い土地や大規模な設備投資が必要です。陸上養殖に関心があっても、最初から大きな投資をするのは難しく、参入のハードルになっていました。

そこで、陸上養殖に必要な基本機能を小さくまとめた、実証向けの小型システムを開発しました。商業生産向けの中型システムでは20トンから30トン程度の水槽を使用しますが、小型システムは2トンから5トン程度です。必要な面積や電力も抑えられるため、大規模投資の前に養殖事業を検証できます。

単に既存の設備を小さくしたのではなく、閉鎖循環式陸上養殖に必要な機能を最小構成でまとめ、目的に応じてカスタマイズできるようにしています。

Niterra AQUAの商業生産向けの中型システムと、事業・技術検証向けの小型システム
商業生産向けの中型システムと、事業・技術検証向けの小型システム

──小型システムでは、どのような検証ができるのでしょうか。

長原氏:まずは、小規模にエビを育てながら、自社の環境で陸上養殖ができるかを確認できます。養殖を始めるために必要な設備や作業を理解し、事業化に向けた課題を把握することも可能です。

もう一つ重要なのが、陸上養殖に他社の技術を組み込むための検証です。陸上養殖には、水処理、エネルギー、IoT、自動化など、さまざまな技術が必要です。小型システムがあれば、それぞれの技術が養殖現場でどのように活用できるのかを、大規模な設備を建設する前に試せます。

株式会社Niterra AQUAのシステムを販売するだけでなく、陸上養殖に関心を持つ企業が技術開発や新規事業に取り組むための環境としても活用していただきたいと考えています。

──他社との共創では、具体的にどのような可能性がありますか。

長原氏:陸上養殖では、水温を一定に保つために電力や熱を使います。工場から出る排熱や余剰電力、太陽光発電などを活用できれば、養殖にかかるコストを抑えられる可能性があります。

また、空き工場や遊休土地を養殖拠点に変えたり、水処理や自動化の技術によって現場の負担を減らしたりすることも考えられます。地域で育てた海産物を地域の飲食店や販売店に届ければ、地産地消や地域ブランドの創出にもつながります。

陸上養殖は、私たちだけで完成させられる事業ではありません。それぞれの企業が持つ技術やアセットを持ち寄ることで、より効率的で持続可能な仕組みにしていく必要があります。

──小型化は、事業を縮小するためのものではないのですね。

長原氏:将来的に陸上養殖を広げるために、必要な技術や仲間を増やすことが目的です。

一度小さなシステムに戻り、さまざまな企業と技術検証を重ねることで、そこで得た成果を商業生産向けのシステムに反映できます。一見すると回り道に見えるかもしれませんが、陸上養殖を大きな産業に育てるために必要なプロセスだと考えています。

小型システムを共創の入口として、各社の技術を集めながら、日本のものづくりの力を新しい食料生産につなげていきたいです。

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Niterra AQUAのインタビュー記事のeyecatch画像

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