JTBのイノベーション創発プログラムnextenderは、どのように生まれ、進化してきたのか
第4章|意識の高い人だけでは広がらない。運営を通じて見直したメッセージ
──nextenderを2023年に立ち上げてから、プログラムをどのように改善してきたのでしょうか。
須谷 氏:nextenderは、イノベーティブな会社になるために必要なプログラムを考え、運営側の意思を起点に立ち上げました。そのうえで、実際にプログラムを動かしながら、参加者の反応や社員から寄せられる声をもとに改善を重ねています。
立ち上げ当初は、起業家を目指す人や、事業をつくりたいという強い意欲を持つ人を想定し、比較的高いレベルのプログラムやメッセージを打ち出していました。実際に、内容に共感し、意欲的に参加してくれた社員も多くいました。
一方で、運営を続けるなかで、一部の意欲的な社員には届いても、社内全体には十分に広がっていないことが見えてきました。
──nextenderが、特別な人だけを対象としたプログラムに見えていたのでしょうか。
須谷 氏:新規事業やイノベーションに対して、もともと高い関心を持っている社員ばかりではありません。最初から起業家を目指している人や、自分で事業を立ち上げたいと考えている人だけを対象にしていては、参加する社員の輪を広げることが難しくなります。小さな発見や気づき、ちょっとした日常業務の改善からイノベーションは始まる、誰もがイノベーションに取り組むことができる、その先に新規事業という可能性も広がるということを知ってもらう必要がありました。また、周囲の理解・応援・サポートがなければ、イノベーションや新規事業への取り組みを継続することは難しく、グループ全体としての意識向上も重要です。
そこで、nextenderが一部の社員だけのものではないと伝わるように、発信するメッセージや個々のプログラムの内容を見直しました。目指す方向を変えたわけではありません。より多くの社員が、自分にも関係のある取り組みだと感じられるように調整していったのです。

──関心の高い社員に挑戦の場を提供するだけでなく、裾野を広げる取り組みも必要だったのですね。
瓜生 氏:2026年には、全社員を対象とした共通リテラシー研修を実施しました。受講後のアンケートでは、回答者の90%以上から、JTBにイノベーションが必要であることへの理解や共感を得られました。
一部の意欲的な社員だけではなく、多くの社員がイノベーションについて考える機会をつくれたことは、全社へ裾野を広げるうえで大きな一歩になったと感じています。
