新規事業は、ブルーオーシャンすぎても難しい。サニックスが挑んだ市場開拓のリアル
第3章 | 市場はあった。しかし顧客は課題を認識していなかった

── 一元くんは、どのようなサービスなのでしょうか。
千葉氏:一元くんは、産業廃棄物の管理業務を一元化するクラウドサービスです。
産業廃棄物は、排出した企業が最終処分まで適正に管理する責任を負っています。しかし、契約書やマニフェストなど、管理すべき書類は多く、複数の拠点を持つ企業では、管理方法が拠点ごとに異なるケースも少なくありません。
一元くんは、そうした情報を一元管理し、担当者の負担軽減や法令遵守を支援するために開発しました。
── 市場性については、どのように考えていましたか。
千葉氏:市場は十分にあると考えていました。
日本には約430万の事業所があり、そのうち産業廃棄物を排出する事業者は数多く存在します。私たちは、4万3,000拠点への導入を目標に掲げていました。
また、お客様へヒアリングを行うと、多くの企業が管理システムを導入していませんでした。
競合はいるものの、未導入の企業が多い。それだけ市場の可能性は大きいと考えていたのです。
── 実際に市場へ投入してみて、いかがでしたか。
千葉氏:正直、ここまで苦戦するとは思っていませんでした。
市場には課題がありました。しかし、お客様はその課題を課題だと認識していませんでした。
私たちは、法令遵守や管理業務の効率化という価値を伝えていました。しかし、多くのお客様から返ってきたのは、「今のやり方で困っていない」という反応でした。
私たちから見れば改善すべき課題でも、お客様にとっては日常業務の一部であり、不便さを感じていなかったのです。
これは事業を始めて初めて気づいたことでした。
── ブルーオーシャンだからこそ難しかったということでしょうか。
千葉氏:その通りです。
競合が少ない市場は、参入しやすい市場だと考えていました。しかし実際は、市場そのものが成熟していませんでした。
お客様は、廃棄物管理に課題を抱えていました。しかし、その課題を課題として認識していなかったのです。
だからこそ、サービスを提案する前に、なぜ適切な管理が必要なのか、今の運用にはどのようなリスクがあるのかを理解していただく必要がありました。
振り返ると、一元くんが向き合っていたのは競合ではなく、お客様の課題意識そのものでした。
それでも地道な啓発活動を続けた結果、現在では1,700拠点に導入されるサービスへと成長しています。
