新規事業開発における意思決定のズレは、なぜ生まれるのか。

2026年2月某日、株式会社ヒトノネが主催する新規事業開発マネージャー限定の交流会兼ワークショップが開催された。
本イベントは、大企業で新規事業に携わるマネージャー層約10名が参加。社名や肩書きを非公開とし、純粋に意思決定と向き合う設計が特徴となっている。
ヒトノネの代表を務める二名はいずれも大企業で新規事業に取り組んでいる実践者であり、机上の議論ではなく、いま現場で起きている意思決定のズレをテーマに議論が行われた。

意思決定のズレを再現するワーク設計
本ワークショップでは、立場の異なるプレイヤー間で発生する認識のズレを体感するため、ロールプレイ形式のワークが実施された。
特徴的なのは、詳細な背景情報をあえて伏せた設計である。
参加者は限定的な情報の中で意思決定を行うことを求められ、実際の現場に近い不確実性が再現されていた。
この設計により、単なるケーススタディではなく、意思決定のプロセスそのものを体感する場となっていた。
ワーク①:リスク許容の違いが生む対話の断絶

最初のワークでは、自由度をもって推進したい担当者と、進捗管理を重視するマネージャーという構図で対話が行われた。
議論の中で浮き彫りになったのは、リスクに対する前提の違いである。
新規事業においては、不確実な状況で意思決定を行うことが前提となる。一方でマネージャーは、組織としての説明責任や進捗管理も担う必要がある。
この前提が揃っていない場合、会話自体は成立しているように見えても、実質的な合意には至らない。
担当者は「なぜ止められるのか」を理解できず、
マネージャーは「なぜそこまでリスクを取るのか」を理解できない。
この構造が、意思決定の停滞を生む要因として共有された。
ワーク②:正解志向と仮説志向の衝突

2つ目のワークでは、
正解を求める担当者と、自走を促したいマネージャーという構図がテーマとなった。
担当者は、評価のためだけでなく、方針の変化に振り回される中で「何が正しいのか分からない」状態に置かれることも多い。
その結果、意図を読み取りながら外さない答えを探そうとする。
一方でマネージャー側も、上層からの期待や進捗プレッシャーの中で意思決定を求められている。
このズレは、アウトプットにも表れる。
担当者は完成度を高めようと時間をかけ、マネージャーは不完全でも早く出すことを求める。
新規事業ではスピードが価値を持つが、その前提が共有されていなければ摩擦が生まれる。
判断基準の不在が意思決定を遅らせる
議論を通じて共通して挙げられたのが、「判断できない状態」の存在である。
情報不足や前例の欠如により、担当者が意思決定をためらうケースは多い。
一方でマネージャーは、それを「進んでいない」と認識する。
このギャップを解消するためには、
どのレベルの仮説で前進してよいのかという判断基準を明示する必要がある。
意思決定のスピードは、個人の能力だけでなく、組織としての基準設計にも大きく依存している。
見えづらい停滞をどう捉えるか

ワーク後のディスカッションでは、「やっているように見える状態」の危うさについても議論が行われた。
担当者が前向きに振る舞っていても、内心では判断に迷い、実質的に意思決定が止まっているケースがある。
この状態は外から把握しづらく、結果として課題の発見が遅れる要因となる。
その背景には、失敗への不安や評価への影響があると指摘された。
新規事業マネージャーに求められる役割
本ワークショップを通じて示されたのは、新規事業マネージャーの役割の複雑さである。
マネージャーは単に意思決定を行うだけでなく、
異なる前提や価値基準を持つ関係者の間をつなぐ役割を担う。
既存事業と新規事業、上層と現場、評価と挑戦。
これらの間にあるギャップを調整し、意思決定が進む状態をつくることが求められる。
まとめ
本ワークショップでは、新規事業における意思決定のズレが構造的なものであることが示された。
重要なのは、そのズレを解消することではなく、
どのズレを許容し、どのズレを揃えるのかを判断することである。
意思決定の質は、戦略やKPIだけでなく、
その背後にある前提や基準をいかに揃えられるかに依存している。
ヒトノネの取り組みは、こうした意思決定のズレを理解するだけでなく、体感する場として設計されており、その本質は実際に参加することでこそ見えてくる。
イベント情報
会期:2026年2月18日(水)
参加者数:約10名
開催内容:ワークショップ、懇親会
参加費:有料(事前招待制)
主催:株式会社ヒトノネ
株式会社ヒトノネ
HP:https://hitonone.studio.site/
イベント情報確認、お問い合わせは上記Webサイトから、お願いいたします。
